私は確かにポンチャックとかトロットとかが好きで、ムッチマレコーズなんていうお店も出したわけですけど、もともとはロック好きで。中には、ロックっぽさを感じるポンチャックもなくはないんですが、ごくごくまれで、最近ではまったくなくて。
だからこの人を知ったときにはうれしかったですね、オクスドンワンスンデ。
オクスドンワンスンデのデビューミニアルバムです。チャンギハと顔たちや、ミミシスターズなんかと同じ、ブンガブンガレコードから出てます。
ちなみにオクスドンは地名で、ソウルの地下鉄3号線オクス駅付近の、漢江を見下ろす高台の街、ワンスンデは韓国式腸詰め=スンデのデカいヤツです。それを芸名にしているわけで、バンドでなく、個人です。
♪ 벌집됐네
出だしのこの曲なんか、韓国地方都市の市場なんかで聴こえてきても全然違和感のない完璧なポンチャックなのに、フニャフニャしておらず、芯がゴリゴリした感じでロックっぽいですよね。
YouTubeのPVで彼の顔を見ながら、オレはこういうヤツを待っていたんだ! とさえ、思ったもんです。
これはムッチマレコーズでもぜひ扱いたい、Tシャツとかも作りたいということで、ブンガブンガレコードに連絡したら快諾をいただきました。
ただ、苦労したのが歌詞カード。
お客さまに、彼の世界をより深く味わっていただきたい。そういう思いで日本語対訳歌詞カードを作ろうとしたんですが、なにしろ歌詞が下品すぎて、わからないんですよ。
よくありますよね、外国語学習者にとって、新聞より絵本が、大学の講義より酔っぱらいのエロ話のほうが難しいっていうの。
このCDがまさにそれで、友だちの韓国人にも聴いてもらいましたが、そいつも育ちが良いからか、全部すっきりとはわからなくて。
結局、ブンガブンガレコードの、日本語の堪能な担当者と何度もメールのやり取りをしながら、日本語にしていきました。
歌詞カードはCDをお買い上げの方に差しあげています。ちょっと文字が小さいですけど。
このCDの最後、뽀찌(ポッチ)という曲の歌詞から、彼の世界の一端を味わってみてください。
♪ 뽀찌
この뽀찌は明らかに보지(ポジ)、つまりマ◯コのことで、そのまま訳せば
♪ マ◯コマ◯コ、ヤリマンのマ◯コ、オレのマ◯コはどこに行ったのか…
ということになります(笑)。ミもフタもない下品さですけど、よく読むとこれ、誰か特定の女性のマ◯コのことではなく、社会全体に対しての怨嗟を歌った歌なんですよね。
曲の途中、
♪ 今日も電信柱にオレの腐ったものを吐き出し/疲れた身体を引きずって/やっとの思いで家の隅に帰るんだ…
という個所なんか、生々しい挫折感や劣等感の吐露が胸に迫って、なんとも言えず切なくなります。決して下品なだけじゃないんです。
おかげさまで、ムッチマレコーズに出して以来、けっこう反響も大きくて、彼の理解者は少しずつ増えているようでうれしいです。
しかし、他のしょうもないK-POP(失礼)に較べてまだまだ知名度が低すぎるし、8曲入りのCDに手作り歌詞プリントとポストカード付きで1,240円なら決して高くないので、みなさんもぜひ買ってください! よろしくお願いしまーす!
【CD】オクスドンワンスンデ - 落ちそうだ
0 件のコメント:
コメントを投稿